小久保隆 - 新・呼吸アルバム (’87)

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Takashi Kokubo – Get At The Wave (Sanyo – 20481) - YouTube

 ジャケットで拒否反応を示してはいけません。個人的には国産バレアリックサウンドのトップクラスの良盤だとおもいます。サンヨーの販促用レコードなので当然CD化もされていません。ちょっと高いですが。このアルバム、何枚くらい作られたものなんでしょう。

ピクチャーディスクになっていて、見た目はとにかく「あの頃の日本」っぽさがすごいです。ちなみにリリースの87年は私が生まれた年です。このジャケットとは裏腹に内容は本当に素晴らしくてフィールドレコーディングを取り入れたサウンドスケープという感じ。演奏が素晴らしいのはもちろんですが、一音一音へのコダワリみたいなものが強く感じられて、ここまでのアルバムは日本では他に存在しないのではと思えるほどです。

小久保隆氏についてですが、活動初期からこういった類の演奏よりもサウンドに重きを置いた音楽を専門に活動しているようで、活動初期は越部信義 (2014年没)とともにアニメを中心とした映像作品への楽曲提供を行っていたようです。とくにレコードコレクターの間では『少年ケニヤ』が有名でしょうか。基本的にはソロ名義でのリリースは当時はなく、それほど自分が前に出ることに興味はなかったのかなと思います。

87年の本作リリースの後、90年代は沈黙し2000年に入ってからサウンドデザインやヴィジュアルデザインを行う会社STUDIO IONを設立。そこから自身のベストアルバムや数々のCDをリリースしています (もう少しレコードコレクターやアンビエントファンに響くジャケットデザインであれば....)。

昨今は日常で使われる効果音やサウンドのデザイナーとして活躍されており、フィールドレコーディングにも重きをおいているようで、自身が開発した「サイバーフォニック」という3Dサウンドシステムで各地のサウンドを採取し、発表しているようです。

この台湾タロコ族のフィールドレコーディングなどはすばらしいお仕事だとおもいます。

台湾タロコ族 東冬侯温「歓迎の歌」 - YouTube

 

追記

ご本人と少しお話できました。誤字がすごくてすみません。

https://twitter.com/quojama/status/963037402615828480

 

参考