Enno Velthuys (Holland)

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インターネットを徘徊していたらみつけたオランダのアンビエント系アーティスト。なかなかのインパクトがあったのでご紹介します。何か情報ありましたらお寄せください。

Enno Velthuys - Different Places [Full Album] - YouTube

最初にたまたま辿り着いたのが上記アルバムですごいいいなと思いました。すぐにリリースの情報を探ってオリジナルレコードの有無やリイシューの有無などを調べますが、この方80年代にアルバムを6枚かそれ以上出していますが、なんと徹底してすべてのフォーマットがカセットオンリーです。ここまでカセットのみのアーティストは他にいないかもしれません。アーティスト情報について調べてみてもオランダのアーティストということくらいしかわからず、とにかくこのテの音楽ファンを惹きつけること請け合いです。

FBのページがあり、おそらく本人かその周辺が衝動的にスタートさせてものの放置状態。とにかく内容が素晴らしいので今後の各国のアンビエント警察(レーベル)の動向に注目いたします。リイシューが決まれば何かしら本人の情報もあきらかになることでしょう。

こちらの曲も非常に素晴らしいです。

Enno Velthuys - Uplands - YouTube

 

参考

小久保隆 - 新・呼吸アルバム (’87)

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Takashi Kokubo – Get At The Wave (Sanyo – 20481) - YouTube

 ジャケットで拒否反応を示してはいけません。個人的には国産バレアリックサウンドのトップクラスの良盤だとおもいます。サンヨーの販促用レコードなので当然CD化もされていません。ちょっと高いですが。このアルバム、何枚くらい作られたものなんでしょう。

ピクチャーディスクになっていて、見た目はとにかく「あの頃の日本」っぽさがすごいです。ちなみにリリースの87年は私が生まれた年です。このジャケットとは裏腹に内容は本当に素晴らしくてフィールドレコーディングを取り入れたサウンドスケープという感じ。演奏が素晴らしいのはもちろんですが、一音一音へのコダワリみたいなものが強く感じられて、ここまでのアルバムは日本では他に存在しないのではと思えるほどです。

小久保隆氏についてですが、活動初期からこういった類の演奏よりもサウンドに重きを置いた音楽を専門に活動しているようで、活動初期は越部信義 (2014年没)とともにアニメを中心とした映像作品への楽曲提供を行っていたようです。とくにレコードコレクターの間では『少年ケニヤ』が有名でしょうか。基本的にはソロ名義でのリリースは当時はなく、それほど自分が前に出ることに興味はなかったのかなと思います。

87年の本作リリースの後、90年代は沈黙し2000年に入ってからサウンドデザインやヴィジュアルデザインを行う会社STUDIO IONを設立。そこから自身のベストアルバムや数々のCDをリリースしています (もう少しレコードコレクターやアンビエントファンに響くジャケットデザインであれば....)。

昨今は日常で使われる効果音やサウンドのデザイナーとして活躍されており、フィールドレコーディングにも重きをおいているようで、自身が開発した「サイバーフォニック」という3Dサウンドシステムで各地のサウンドを採取し、発表しているようです。

この台湾タロコ族のフィールドレコーディングなどはすばらしいお仕事だとおもいます。

台湾タロコ族 東冬侯温「歓迎の歌」 - YouTube

 

追記

ご本人と少しお話できました。誤字がすごくてすみません。

https://twitter.com/quojama/status/963037402615828480

 

参考

菊池俊輔 - The Woman Original Soundtrack ('80)

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the woman ザ・ウーマン 1980年 AKIKO KANA part1 - YouTube

某レコードショップのセールに紛れ込んでおりました。全く知らなかったレコードでしたが、これは見た瞬間に買っちゃうタイプのやつです。周りに聞いてみても誰も知りませんでした。

80年スタートの色モノ時代劇『ザ・ウーマン』のオリジナル・サウンドトラックです。時代劇のタイトルが『ザ・ウーマン』。リリースメディアはLPとカセットのみで未CD化。映像の方もDVD化はおろかVHSにもなってない(?)

奇跡的にYouTubeで映像を少し見ることができましたが、オープニングの浮世絵やカット割り、ナレーションがかなりいいんですよね。それに合わさるなかなかアヴァンギャルドサウンドトラック。

作曲はアニメ・ドラマのマエストロ菊池俊輔ドラゴンボールやアラレちゃんの音楽を作ったと思えばこういうのも作れる本当の天才です。

サウンドは今風に言えば一貫して「アンビエント」「ニューエイジ」「エクスペリメンタル」。なんでもカテゴライズするのは良くないとも思いつつ、音楽のイメージを言葉で伝えるにはジャンル分けが非常に有効です。

Discogsなかったので作っときました。

菊池俊輔* - The Woman Original Soundtrack (Vinyl, LP, Album) at Discogs

 

参考

  • なし

Terry Riley - You're No Good ('00)

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Terry Riley - You're No Good - YouTube

ラ・モンテ・ヤング、スティーブ・ライヒフィリップ・グラス、テリー・ライリー。ミニマル四天王は我々の心の拠り所です。今回はテリー・ライリーの2000年リリースの『You're No Good』について。

最近やっと聴いたのですが、かなりびっくりする内容だったのでメモ。これリリースは2000年にCDのみで出てるんですが、録音自体は67-68年頃のようです。30年以上眠っていた名演。いつも通りのミニマルだろうなーと思って聴いてみたら全然違いました。

しかしよくこんなもの発掘できたなー。ラップトップもDAWもない時代に2台のオープンリールを使ってソウルをズタズタにしばき上げる。

最初はブーンというMOOGの電子音からスタートし、2分半を過ぎたところでいきなり軽快なソウル・ミュージックがスタート。ちなみにこれ、同年にAtlanticからリリースされているHarvey Averne Dozenの『Viva Soul』の1曲目に収録されている曲ですね。

The Harvey Averne Dozen - You're No Good (1968) - YouTube

2台のオープンリールをそれぞれ左右に振って、微妙にBPMを変えてループしているっぽいです。最初はエコーなんですがだんだんずれが大きくなってきて、テリー御大の禿頭が頭に浮かび始めます。片方のチャンネルをシャットアウトしたりして遊びながら、だんだん気持ちよくなってきたとおもったらいきなりビープ音が発生し、アバンギャルドの地の底へ連れて行かれちゃいます。サンプリングの真の元祖。ストリートと地下室をつなぐ名演だと思います。テリー・ライリーの知られざる20分間。わりとまじで必聴。

 

参考

Iury Lech - Musica Para El Fin De Los Cantos ('90)

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58年生まれ。ウクライナ出身と紹介されることが多いけど、おそらく両親がウクライナからの移民であるというだけで生まれはスペインのようです。

70年代中盤からキャリアをスタートし、80年代に入ってからは音楽家、映画監督、作家などマルチに、そしてアンダーグラウンドに活躍しているみたいです。

「スペインではSuso SaizかIury Lechか」というくらい数少ない80年代のエレクトロニクスを駆使したアンビエント/ニューエイジ系アーティスト。オーディオ・ヴィジュアルにも力を入れていたようです。

今作は彼の代表作でしょうか。スペインのマイナーレーベルHyades Artsから90年にリリース。

89年にバルセロナのプライベート・スタジオで録音されたもののようで、もはや巨匠と言い切っても全く問題なしの仕上がりです。特にハイライトはA2の「Barreras」でしょうか。レイドバックしきった左右に揺れるシンセサイザーとアンビエンスに季節、昼夜問わずノックアウト。

ジャケットも素晴らしく各国からのウォントが絶えないようでオリジナルは滅多にお目にかかれません。入手には結構な覚悟が必要かと思われます。当然持ってません。

オリジナルのリリースレーベルであるHyades Artsについても調べたかったのですが、その多くがスペイン語で書かれており、英語で書かれた記事はほとんど見つからずお手上げでした。

 

参考